認知症とお口の健康|口腔ケアで気をつけたいこと
認知症の方のお口のケアで、気をつけたいことをお伝えします。
この記事のポイント
- 介護が必要になった主な原因は、認知症が最も多くなっています(令和4年国民生活基礎調査)。
- 認知症の方は、ご自身でお口のケアを行うことが難しくなり、歯の痛みや入れ歯の不具合が起こりやすくなります。
- お口のトラブルは、食事や栄養に影響します。噛む力や飲み込む力の低下は、軽度認知障害(MCI)の早期のサインであることも分かってきました。
- ご本人の訴えのほか、ご家族や施設の方の「気になる」も、ご相談のきっかけになります。
介護が必要な方と、認知症
当院をご利用の方の多くは、介護を必要とされる方々で、認知症のある方も少なくありません。厚生労働省の令和4年(2022年)の国民生活基礎調査では、介護が必要となった主な原因として、認知症が16.6%で最も多くなっています。要介護の認定を受けている方(要介護者)に限ると、認知症は23.6%で、やはり最も多い原因です。
※数値は、地域紙に掲載した時点(2024年)の記事に基づきます。最新の統計は、公表元の資料をご確認ください。
認知症の方に、お口のトラブルが起こりやすい理由
認知症の方は、ご自身で適切な口腔ケアを行うことが難しくなる場合があります。すると、歯の痛みや、入れ歯が合わないといったお口の中の問題が起こりやすくなります。
食事と栄養への影響
お口の機能が落ちると、食べられるものが限られ、柔らかく食べやすい食事を好むようになります。その結果、肉や魚、野菜、果物などをあまり食べなくなり、ビタミンやたんぱく質などが不足しやすくなる、と厚生労働省のe-ヘルスネットでも説明されています。
噛む力・飲み込む力の変化に気づく
同じe-ヘルスネットでは、噛む力(咀嚼能力)や飲み込む力(嚥下機能)の低下が、軽度認知障害(MCI)の早期のサインであることが分かってきた、と説明されています。食事の様子の変化は、お口のトラブルだけでなく、全身の変化に気づく手がかりにもなります。
当院の考え方と、ご家族・介護者の方へ
認知症の方への歯科治療については、日本老年歯科医学会が『認知症の人への歯科治療ガイドライン』(2019年)で、口腔管理・口腔衛生管理、義歯、摂食嚥下、栄養などを整理しています。当院では、お口の環境を整えることが、日々の食事や心身の安定を支えると考え、適切な治療と定期的なケアをおすすめしています。
- 入れ歯を外したがる、痛みを訴えている
- 食事を残す、食べるのに時間がかかる
- 歯みがきや入れ歯の手入れを、嫌がるようになった
- お口の中の様子を、うまく確認できない
ご本人が歯の不調を訴えている場合のほか、ご家族や施設の方が「入居者さまの歯について気になる」ことがあれば、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
認知症の方は、お口のケアが難しくなりますか?
認知症の方は、ご自身で適切な口腔ケアを行うことが難しくなる場合があります。そのため、お口の中の問題(歯の痛み、入れ歯が合わないなど)が起こりやすくなります。
本人が歯の不調をうまく伝えられません。
ご本人が歯の不調を訴えている場合のほか、ご家族や施設の方が「歯について気になる」と感じた場合も、お気軽にご相談ください。
認知症の方も、訪問歯科を利用できますか?
はい。当院をご利用の方の多くは介護を必要とされており、認知症のある方も少なくありません。
出典・参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況」(PDF)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「口腔機能の健康への影響」
- 日本老年歯科医学会『認知症の人への歯科治療ガイドライン』(2019年、Mindsガイドラインライブラリ)
各資料の内容は、2026年10月4日に原文で確認しました。数値は公表時点のものです。最新の情報は、各資料の公表元をご確認ください。
このコラムについて
地域紙に連載した記事広告(2024年)の内容(院長が校閲したもの)をもとに、公的な資料で出典を確認し、Web用に加筆・再構成しました。内容は一般的な情報です。診断や治療方針は、実際にお口を拝見したうえで歯科医師が判断します。