誤嚥性肺炎とは?予防のカギは口腔ケアと嚥下機能
誤嚥性肺炎の基礎知識と、日々のお口のケアの考え方を解説します。
この記事のポイント
- 誤嚥とは、食べ物や唾液などが食道ではなく気管に入ってしまうことです。
- お口のケアが行き届いていないと、お口の中の細菌が肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。
- 対策は、飲み込む力(嚥下機能)を保つことと、お口の中を清潔に保つことです。
- 日々のケアに加え、1〜2週間に1度程度は歯科衛生士によるケアが望ましいと院長は考えています。
誤嚥性肺炎とは
高齢の方の多くは、飲み込む力(嚥下機能)が低下しています。すると、飲み込んだ食べ物や唾液などが、食道ではなく気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥(ごえん)」といいます。
通常は、むせるなどして体の外へ出すことができます。しかし、お口のケアが行き届いていない高齢の方や、介護を受けている方は、お口の中の細菌などが肺に入ることで、肺炎を引き起こしてしまうことがあります。これが「誤嚥性肺炎」です。
死因の統計と、誤嚥性肺炎
厚生労働省の令和6年(2024年)の人口動態統計(概数)では、死因の第5位が肺炎(80,171人、全死亡の5.0%)、第6位が誤嚥性肺炎(63,665人、同4.0%)でした。統計の上では別の項目として数えられていますが、どちらも上位に入っています。
日本呼吸器学会の『成人肺炎診療ガイドライン2017』では、療養病床に入院中の方や高齢者施設に入所中の方、在宅で介護を受けている高齢者に起こる肺炎は、多くが嚥下機能の低下に関連した誤嚥性肺炎の形をとると説明されています。
※数値は令和6年(2024年)の概数です。
予防の考え方
対策としては、飲み込む力(嚥下機能)を低下させないようにすることと、お口の中を清潔に保つ予防的なケアが挙げられます。同ガイドラインは、肺炎の予防として、口腔ケアを行うことを「弱く推奨」しています。口腔ケアを行ったグループでは、肺炎の初回の発症が抑えられたという研究結果がまとめられています(一方で、死亡の減少までは示されていません)。嚥下機能と口腔リハビリもあわせてご覧ください。
日々のケアと、歯科衛生士によるケア
口腔ケアは、原則として、ご自宅や施設での日々の取り組みが重要です。そのうえで、1〜2週間に1度程度は、歯科衛生士によるケアを受けることで、適切なお口の環境を保ちやすくなると、院長は考えています。ご自身やご家族だけでは行き届きにくい部分を、専門職が補います。
こんなご様子があれば、ご相談ください
- 食事中にむせることが増えた
- 食事に時間がかかる、食べ物を残すことが増えた
- 口の中が汚れやすい、口臭が気になる
- 入れ歯が合っていないようで、うまく噛めていない
- 歯みがきや口腔ケアが、うまくできなくなってきた
よくあるご質問
誤嚥(ごえん)とは何ですか?
飲み込んだ食べ物や唾液などが、食道ではなく気管に入ってしまうことです。通常はむせるなどして体の外へ出せますが、飲み込む力が弱くなると難しくなります。
口腔ケアは、どのくらいの頻度で受けるとよいですか?
口腔ケアは、原則としてご自宅や施設での日々の取り組みが重要です。そのうえで、1〜2週間に1度程度は、歯科衛生士によるケアを受けることが望ましいと院長は考えています。
むせることが増えました。相談してもよいですか?
はい。食事中のむせが増えた、食事に時間がかかるといった変化があれば、お気軽にご相談ください。
出典・参考資料
- 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
- 日本呼吸器学会『成人肺炎診療ガイドライン2017』(PDF)
- 院長 小原秀俊歯科医師の見解(歯科衛生士によるケアの頻度の目安)
各資料の内容は、2026年10月4日に原文で確認しました。数値は公表時点のものです。最新の情報は、各資料の公表元をご確認ください。
このコラムについて
地域紙に連載した記事広告(2024年)の内容(院長が校閲したもの)をもとに、公的な資料で出典を確認し、Web用に加筆・再構成しました。内容は一般的な情報です。診断や治療方針は、実際にお口を拝見したうえで歯科医師が判断します。